2006年11月22日

■ 仏作って魂入れず

システム構築業界にとっては、少々痛いことわざです。
巨費を投入して導入した基幹業務システムが、全然機能しなかったりすることは、今も昔も少なからず耳にする話です。本当に中身が空っぽのものを高額で売りつけて逃げてしまうというような、「誰が見ても詐欺」ならば、刑事事件としてわかりやすいのですが、性質が悪いことに、システム構築の場合は、顧客も、構築会社ともども死にそうになるほど肉体的・精神的労力を費やし、燃え尽きた結果、機能しなかったりします。つまり、勝者がどこにもいない、誰もが被害者というような、最も悲惨な状況になってしまいます。


そうなってしまう原因は、色々あるのでしょうが、そう陥らないようにするために必要なこととして私が思うことは、単純な話ですが、
「仏作って魂入れず。」ということには、絶対にならないゾ!という強い決意のようなものを失わないこと。ではないかと思います。


つまり、これは、システム化の目的、本質を常に頭の中に描いておく、ということですが、漠然とした目的というよりも、その目的をトコトン研ぎ澄まして最後に残る堅い塊のようなもの、「誰が見ても理解できる具体的なひとつの文章」を見出す必要があります。それをスローガンにして、システム構築に携わる全員で、ことあるごとに暗唱することです。それだけでも、軸のブレは相当防止できると思います。


最近気になるのは、日本版SOX法対応!特需のように、この業界が盛り上がっている?感じがすることです。内部統制のためのログ収集、分析システムとか、行動監視システムとか、改ざん防止システムとか、業務フロー作成ツール等々、、、最近のIT系セミナーのテーマはほとんどがSOX法であり、そして、この手の製品を売りつけることに躍起になっています。(当社も人のことは言えない部分もありますが。。)おまけに、情報漏洩対策やコンプライアンス、セキュリティなんていうテーマも同時進行していて、「広義のSOX法対策ソリューション」とかなんとかで、もうなんでもかんでも売りつけちゃえ!的雰囲気すらあります。
そういう風潮に踊らされて、いろんなものを購入した結果、お金と時間はかけたけど、ちっとも役に立たないは、かえって生産性を阻害するは、、といった、まさに「仏作って魂入れず」の再来が続出するのではないかと危惧しています。


複数のテーマが同時進行する場合は、それらを統合して実現するよりも、まずは、個々のテーマに応じた目的を明確にして、無駄なく順番に組み立てていくことが必要です。


SOX法でいえば、これは本来エンロン事件のような不正会計による投資家被害を避けるための法律であったと認識しています。不正会計を起せる人々は誰かというと、末端の社員というよりも、権限を与えられた幹部社員、そしてそれよりも上位の人々であり、足かせをはめる必要があるのは、これらの人々であるはずです。「私はこの財務諸表に嘘はないと誓います!」と記した紙に経営者が署名して提出し、もしそこに虚偽が発覚した場合には、経営者は犯罪者となる。というような、経営者にしてみれば、とんでもなく大変な責務を負う法律のはずです。つまり、経営者自身が自らを律する強い決意が始まりです。となれば、まずは、秘密裏に幹部を招集して、「当社で粉飾決算をやろうとした場合にどんな手だてがあるのか洗い出そう!」というような露骨なことですら実行し、「粉飾決算フロー:ブラックフロー」を作る必要があります。そして、それに該当しないようにするための実質的なしくみ作りを行う。ネタがばれている方法で粉飾をやろうとする幹部はいないはずですし、そういう情報を幹部内で共有できれば信頼感も高まるとともに、新たな抜け道発生時に気付いて対処する下地もできるはずです。そこまでできてこそ、経営者は宣誓書に署名できるような気がします。そういうアプローチこそが、「魂を入れる」ことになるのではなかろうか、と思うのです。


と、これはあくまで一例ですし、私のまったく個人的な考え方ですが、風潮に流されず、難解なカタカナ用語を使わずに、本来の目的を十二分噛み砕いて出来上がる「魂こがした」システムを提供したいと思っています。

Posted by smiths at 2006年11月22日 17:17
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